Stylmartin×高杉 奈緒子
人と人をつなぐ乗り物がバイクなんです
バイクに興味を持ったのは、中学生の頃。街中で走っているバイクを見ては「かっこいいなー」と思う様になりました。その頃はバイクとの接点もなく、ただ憧れているだけでした。私は、耳が聞こえません。辛いことや悲しいことが沢山ありました。自分の居場所を探していたというか、何か自分自身が夢中になれるものを求めていました。でもバイクと出会ってから、沢山の人に出会うことができ、沢山の元気をもらいました。
バイクの魅力は風を感じる唯一の乗り物だと私は思っています。その風は、生きていることを実感させてくれます。バイクで生まれた人との接点が、人は一人で生きているのではなく多くの人たちに支えられて生きているのだと実感できます。バイクに乗ってから自分を素直に表現できるようになりました。
きっとバイクを通じて、沢山の人達と泣いたり笑ったりしながら素敵な時間を共有できたからだと思います。耳が聞こえない私でもバイクに乗れる身体があることに気がつかせてくれたのもバイクでした。
「走りたい」ピュアな気持ちがレースに出るきっかけ
レースをするようになってから私の世界はさらに広がりました。しかしレースの世界は多くの壁がありました。夢や目標に挑戦するということの厳しさがありました。続けてゆくことの難しさ、いくつもの壁をひとつ、ひとつ乗り越えてゆく勇気が必要でした。
どんな困難でも乗り越えた後の喜びや感動は、生きてゆく喜びそのもです。
レースという環境は、ハンディキャップも女性も関係なく対等に戦う場所であり、自分自身の成長が出来る場所だと思っています。耳が聞こえない私にもエンジンの鼓動は聞こえます。全身の感覚を研ぎすましバイクに乗るとバイクと一体になった感覚になります。
とはいえ、レースでは何度も怖い経験をしました。レースではいつ何が起こるのか予測が出来ません。絶対にPITに帰ること、待っている人がいることを想って恐怖心に負けないように走っています。
レース活動を通じて私は、心が強くなったと思います。「挑戦」を続けることが私の原動力なのかもしれません。
安心してバイクに乗るために
サーキットを走り様々なことを学びました。速く走るために、常に前に前にと集中しています。でもそれだけでは、速く走れません。安心してバイクに乗れるという事実が非常に重要です。
自分が乗る車両が完璧に整備され、最良のセットアップがされていることが重要です。そして自分が身につける装具が不測の事態に私を守ってくれるという安心感と意のままに動く使いやすさが求められます。
とくに全身を使ってバイクを操作するのでヘルメットやレーシングスーツ、グローブ、ブーツには気を使っています。特にブーツには、すごいこだわるタイプなんです。
今までなかなか、自分にぴったりなブーツに出会えませんでした。特に女性用となるとサイズの問題があります。
私がブーツ選びにこだわる理由は、足回りの操作を確実にこなせないと走りに集中できないからです。
革の柔らかさだったり、丈夫で転倒しても足を保護してくれて、足首が動きやすいブーツが私の選ぶポイントです。レーシングスーツは体に合わせてフィットするように作ってもらえますが、ブーツはオーダーメイドというのが難しいので、自分に合ったブーツを探すのは意外に難しいんです。
Stylmartinは初めて履いた時から足にフィットしオーダーメイドのような感覚になりました。足首も良く動きペダル操作にストレスを感じさせませんでした。最新の機構を取り入れた安全性の高いプロテクターも安心感が増します。こうした安心の積み重ねが、レースを走りきるには重要なんです。これはレースだけではなく一般道を走る時も同じと言えます。自分の体に合うものを使用することが絶対条件です。
バイクは体で操作するわけですから、動きにくい装具で走るのは危険を伴います。納得いくまでじっくり試すことも必要だと思います。
バイクを乗る時は、格好をもっと気にしてほしい
最近のバイクは、すごいハイパワーになっていますよね。150psを有に超えるバイクが増えています。一昔前のワークスマシンより高性能なバイクを誰でも購入できる時代になりました。
これって凄いことですよね。でもそのバイクとどのように向き合うかがとても大切だと思うんです。パワーがあるバイクは、当然リスクも高くなります。だから安全には気を使ってほしいです。
よくレーシングブーツやレーシングスーツは、レースをやる人のアイテムと思っている人が意外に多いんです。でもこれは全く違うと思います。転倒のリスクはサーキットも公道も変わりません。まして今の高性能バイクは、レース車両よりパワーが出ている場合があります。そうなるとサーキットと公道のリスクはあまり違いがないような気がします。サーキットでは飛び出してくる歩行者はいないので、ある意味公道より安全かもしれませんね。レースで必要な装備や性能は、公道でもとても必要なんです。だから公道を走る時も安全性と運動性の高い装具を使用してほしいです。レーシングブーツは、レースをする人の特殊なアイテムではなく、安全性を考えると公道でも履いたほうがいいと思います。
バイクを楽しく乗るためにも安全には気を使いたいですね。レースをしているライダー達は、実はものすごく安全面に気を使っています。
私も皆さんと一緒にこれからもバイクを思う存分楽しみたいです。
取材協力
プロライダー 高杉奈緒子
2000年 ミニバイク 初レース
2002年 モトチャンプ杯全国大会2位
2003年 モトチャンプ杯関西シリーズ ランキング3位
2004年 ロードレース参戦開始 ST600クラス
2005年 鈴鹿4時間耐久レース 5位
西日本選手権 ST600クラス チャンピオン
2006年 全日本選手権 ST600クラス スポット参戦
2007年 全日本選手権 ST600クラス フル参戦
2008年 全日本選手権 GP250クラス フル参戦
2009年 全日本選手権 GP250クラス フル参戦
2010年 全日本選手権 J-GP3クラス フル参戦 年間ランキング25位
鈴鹿8時間耐久レース LA BELLEZZA SPEED RACINGより出場
2011年 全日本選手権 J-GP3クラス モトバムレーシングよりフル参戦
鈴鹿8時間耐久レース LA BELLEZZA SPEED RACINGより出場予定
高杉奈緒子 オフィシャルサイトhttp://www.hippopotamus.jp/takasugi/fan.htm
LA BELLEZZA オフィシャルサイトhttp://www.la-bellezza.com/
NHK 「ろうを生きる難聴を生きる」
ハイライトにて
●3月25日(金)昼12時45分〜13時(NHK教育テレビ)
●3月27日(日)19時30分〜19時45分(NHK教育テレビ)
●4月1日(金)昼12時45分〜13時(NHK教育テレビ)
全日本選手権フル参戦、鈴鹿8時間耐久レースに出場するなど、精力的にレース活動を展開。耳が聞こえないというハンディキャップを乗り越え、ファンに元気を与える女性ライダー。
